「この通話は録音されています」の真意
お客様センターなどにかけた時、こんなアナウンスを頻繁に聞きます。
「この通話は、内容の確認と、オペレーターの応対品質向上のため録音させていただきます。予めご了承ください。」
かつてオペレーター(アポインター?)として電話業務に携わり数多くの案件をこなしてきた身としては何とも言えない気分になります。
こんにちは。元債権回収屋ブロガーのマエダユウタです。
現場に携わっていた身からすると、録音宣言の本当の目的を勘ぐってしまいます。
即ち、クレームへの抑止力です。
「録音してるからクレームつけてくるんじゃねーぞ」っていう抑止。
これについては、正直ノーコメントであります。
【クレームの種別について】
クレームというと即、悪とか、めんどくさい奴とかそういうのが連想されるかと思います。
まぁ、それはそれで間違いではないんですが、それが全てではない。
大分すると、以下の感じですかね。
1.何らかの怒りに身を委ねて突っ込んでくるクレーム
2.(少なくとも本人にとっては)正当な主張を貫き通そうとするクレーム
3.怒鳴り散らすことで、正当ではないことを理解している主張を通そうとするクレーム
4.趣味や暇つぶしとしてのクレーム
種類によって対応が変わってきます。
【モンスター系のクレーマーには効果抜群】
すなわち、3、4のタイプ。クレーマーの中でも下の下です。
近くにいるだけで消耗させられます。
相手に威圧や恐怖を与えることによって、一方的な需要を突き通したり、クレームをつけて相手を困らせたりすることに生きがいを感じる生き物。
僕がこの世で最も嫌いな、「奪うことしか考えていない生き物」です。
この手の人間にとって、自分の弱みを残す、ということは恐怖になりますので、こういったアナウンスは抑止力がかかります。企業からしても、この手のどうしようもない、関わることがマイナスにしかならない存在は自動で排除できるのが望ましいですよね。
【怒れるクレーマーはまず沈めよ】
電話を取った口から怒鳴りつけてくるクレーマー。
一瞬たじろぎますが、恐れることなかれ。
漫画の世界ならいざ知らず、現実世界において、電話口の相手に殺されることなんてありませんw
それに、人間は怒るのに結構エネルギーを使う生き物。
怒鳴らせておけばそのうち静まってきます。
んで、確認すればいいんですよ。
その怒りの原因何かなって。
人間ってのは理性の動物なので理性をなくした相手を手なづけるのは難しくない。
ただ、この手のは逆上してますので、録音牽制は効きません。
【一定の理があるクレーマーには逆効果】
実際はどうであれ、本人にとって正当な主張があり、それを突き通そうとしているクレーマーに対して、この手の牽制は時として逆効果です。
「そんなくだらない牽制で俺が黙ると思うか?」みたく、逆撫でする可能性すらあります。
この手の人というのは、怒鳴りつけてくるよりも、冷静に淡々と詰めてるので、場合によっては非常にタチが悪いです。特に、自信のないオペレーターにとって、ギャーギャー系よりも恐怖です。
「納得すれば退く」タイプが多いので、対応に困ったら百戦錬磨の上司にバトンタッチが手かもしれませんね。
ぶっちゃけ僕はこのタイプのクレーマー的な側面も持っているので、このアナウンスはイラっとしますw
【頑張って声を上げようとしている消費者を抑圧していないか】
というわけで、特定の、とりわけ下等なクレーマーには効果はあるアナウンスだと思いますが、それよりも僕が気にしてしまうのは、
頑張って文句を言いに来た、基本大人しい消費者
を黙らせてしまわないか、という懸念。
人間というのは、多くの場合わざわざ文句をつけずに、黙って去ります。
そして、二度と近づいてこないのです。
だってお互い不快な思いするの嫌じゃん?
そこをあえて、文句をつけに来るのはある意味期待だったりするのですよね。
今後も関わりを続けていきたいから、改善してほしい、という。
そういうのを押し殺してしまうことは、そういった人達との関わりを紡ぐ可能性を切ってしまうことになり、さらにはそういった人たちの真摯なクレームを逃がすことで改善、成長のチャンスを失うことにもなります。
【で、オチは?】
ここまで来てよろしくないことに気付いた。
「じゃあどうすればいい」がないんです、今回w
録音するな、では内容確認などの趣旨が失われるし、黙って録音するのはそれはそれで問題になります。
じゃあ「クレーム防止のため」っていうか。失笑ですねw
世の中にはあのアナウンスを聞いてこういうことを考える人もいるのか、ってのと、
クレームの種類と対処について、参考になることは書いたと思うのでそれで勘弁してくださいw